建築現場の仕事ー墨出し編ー
2022/01/28
建築現場では様々な作業が行われています。その建築現場において不可欠な工程が『墨出し(すみだし)』です。
設計士が作成した図面を、実際の現場に原寸サイズで書いていく作業です。ミリ単位のズレでも許されないという、建築現場においては最も精密さが求められる重要な作業です。
今回は、墨出し作業についてご紹介いたします。
墨出し作業とは?
墨出しとは、設計士が作成した図面に記載されているありとあらゆる寸法を、実際の現場に原寸で線を引いていく作業です。
新築の場合は鉄筋工事、型枠工事、大工工事、設備工事、内装工事など多くの工事において行われます。
リフォーム・リノベーションの場合は解体が終わった現場で行われ、間仕切り壁の位置、設備配管の位置など線を引いて出していきます。
墨出しができたら、その線をたよりに大工さんや設備屋さん、電気屋さんが作業を進めていきます。
出典:建築の仕事と納まり詳細と
墨出し作業で使う道具
-スケール-
出典:ホームセンター通販 DCMオンライン
-差金(さしがね)-
裏表、内側、外側に目盛が入っているL字型の金属製の道具です。長さを測るのはもちろん、直角を確かめたり、勾配を出すこともできます。これだけでなく、差金の使い方は非常に奥が深く、ベテランの大工さんでも全てをマスターするのは至難の技だそうです。
-レーザー墨出し器-
建築現場では広く使われる機器で、地墨ポイントに合わせ水平や直角などを出していきます。
出典:ホームセンター通販 DCMオンライン
出典:ホームセンター通販 DCMオンライン
-墨壺(すみつぼ)-
この道具は古代中国から伝わってきた大工道具だそうです。墨壺の構成は糸を巻き取る「糸巻き」と墨を含ませた糸「墨糸」、材料に刺して墨糸の端部を固定する「仮子(針)」、墨を入れる「タンク」でできています。
使用方法はタンクに墨を詰め、
出典:モノタロウ
墨糸に墨を染み込ませ、引き出す
出典:モノタロウ
線も引きたい部分の終わりまで墨糸を引き出し、伸ばした墨糸を軽く弾きます。
出典:モノタロウ
-下げ振り(さげふり)-
垂直を調べる道具で、糸の一端に逆円錐形でおもりがついています。この道具で壁や柱の垂直を確認することができます。すごくシンプルな測定方法です。糸と測定物(壁や柱)の間の距離が上部と下部で同じ距離であれば、その測定物(壁や柱)は垂直ということがわかります。
墨出しでは、地墨を打つ時や柱が垂直に立っているかを確認するために使用します。
-その他-
レーザーレベル:水平や垂直、高さを確認するための道具。
オートレベル:レーザーレベルと同じく水平・垂直、高さを確認するための機械。
墨出し作業の種類
墨出しは、基準になる線を引く作業ですが墨出し作業の工程により求められる精度が異なります。墨出し作業にはさまざまな種類があり、細かく分類されています。全てをご紹介すると難しい内容になってしまうので、代表的な墨出し作業をいくつかご紹介します。
-基礎墨出し-
建築の基礎を作るために必要な墨出し作業です。この作業はコンクリートに水平線上に基準線を引き、その墨出し線を使って基礎を作っていきます。最も精度が求められる作業です。
-躯体墨出し-
床や壁、梁などの建物を支える構造を躯体といいます。
躯体を作るために基準となる線を引くための作業です。レーザー墨出し器などを使って作業していきます。
-仕上げ墨出し-
内部の間仕切り壁や階段、ドアの位置、電気コンセント、照明器具の位置、設備機器の配管などの基準線を出していきます。
墨出しとは工事に必要なさまざまな基準を線引きするとても重要な作業です。この作業を専門とする墨出し工という職人さんもいます。専門職になるくらい繊細で精密な作業が求められるのですね。資格は必要ないそうですが、数字を扱う仕事なので数字に強い人が向いているそうです。
建物ができるまでには、本当にたくさんの作業や職人さんが関わっています。
まだまだはたくさんの作業があるので、またの機会にご紹介させていただきます。